投稿日:2011年9月13日
数年前に、あるドクターから聞いた話。
銀座にある女性専門クリニックの医師募集要項には、近親者の死を経験した人であることが望ましいという項目が入っていたのだそうです。
そのドクターは、もちろん優秀な方でしたので、迷いなく応募して採用され、現在大活躍されています。
ー 深イイ話。
それだけで、そのクリニックの医療に対する姿勢をうかがい知ることができます。
喪失体験と言えば‥
4年前に、僕は母を亡くしました。
元気だったのに、脳卒中で突然に。
外来診療中に報が入り飛んで帰りましたが、親の死を訃報で知るとは、親不孝も極まっています。
高校入学から30年あまり、ずっと離れて暮らしていました。
しかし、あまりにも突然の別れだったので、情けないことに、なかなか受け容れることができませんでした。
大切な人を喪失したときの辛さというのは実際に体験してみないとわからないと、身に染みて思いました。
3.11 東北大震災から6ヶ月。
本当に多くの生命が、あまりに突然に失われてしまいました。
復興に向けて動き始めていますが、愛する家族を失った人々の心は、未だ哀しみに震え続けているのではないでしょうか。
9.11 アメリカ同時多発テロから10年。
あれから、そんなに経つんですね。
しかし、10年という歳月を経て、未だなお、愛する者を奪われた哀しみと怒りは癒えていないように思えます。
『朝のこない夜はない, 永遠の夜はなく、永遠の昼はないように』
ー いったいどれだけの歳月が過ぎれば、大切な人を失った人たちのもとに朝がやってくるのでしょうか。
今朝、通勤バスの中で読んだ伊集院静のエッセイ。
ある外国映画の中の老女の台詞が紹介されていました。
『あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりがあるのよ』
そうか、哀しみの終わりを知るには、僕はまだ若すぎるんだ。
身体はとっくにオヤジ化しているにも関わらず、妙に納得をしていました。
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