いつか晴れた日に

投稿日:2011年4月29日


 今日はGW初日。好天に恵まれました。こんな心地良い晴れた日には、何故か時々思い出す光景があります。2年前に訪れた唐津でのある光景です。


 昨日、ある父娘が面会にいらっしゃいました。2月に亡くなったSさん(享年75歳)のご主人と娘さんです。通夜には参列していたのですが、ありがたいことに忌明けのご挨拶に唐津からおみえになりました。


Sさんとの出会いはちょうど4年前。他院での両側乳癌術後に肺転移が見つかった状態でした。事前に娘さんとの数回のメールのやり取りがあった後、セカンドオピニオンをということで唐津より佐賀県の南端にある現在の医院まで来院されました。HER2陽性乳癌であったため、ハーセプチンを主体とした治療についてご説明した上で、手術した地元の病院での治療をおすすめしたのですが、予想に反して当院への通院を希望されました。転移再発乳癌に対するハーセプチン治療は、週1回点滴が必要となります。以来4年間。今年2月に亡くなるまで、ほぼ毎週娘さんの運転で唐津から山越えで1時間以上かかって通院して来られました。僕が手術した方ではありませんが、とても思い入れのある患者さんでした。上品な方で、彼女が作って持ってきてくれた黒煮豆はすごく美味しかった‥


 そのSさんが2年前に十二指腸潰瘍穿孔で地元の病院に緊急入院となったことがあります。幸いに保存的治療で軽快したのですが、その時に唐津までお見舞いに行きました。雲なく晴れ渡り、顔に当たる潮風が心地よい土曜の午後でした。Sさんはまだ絶食中でしたが快方に向かっていて、僕の突然の訪問を涙を流して喜んでくれました。病院は高台に建っており、病室からは唐津湾が一望できました。


病室の窓からSさんと一緒に眺めた眩しい唐津の海が、こんな晴れた日には何故だか思い出されるのです。

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